Ralf China, Structogram Deutschland (ドイツのストラクトグラㇺのマスタートレーナー)
/ 翻訳:日本ストラクトグラムセンター正規研究員 磯川 友浩
人は一人一人違うので、そして人は成功するために違う目標を目指して努力してます! そして、昔から信じられてきたこととは異なり、人を変えることはできません。
アナタにとって、成功とは何ですか?
セミナーの参加者にこの質問をすると、さまざまな回答が出てきます。家族円満、良好な交友関係、組織内での良好な人間関係、平均以上の収入、評価、欲しかった高級車が買える状態、健康と調和、経済的な独立、野心的な目標の達成、専門家としての地位など、たくさん出てきます。
また、他のことも耳にします。自分の仕事を楽しんだり、ワークライフバランスを実現したり、意味のあることをしたり、自分の限界を超えたり、ストレスが無かったり、自分の強みを発揮したり、他の人を助けたり、自分自身に満足すること、など、経験や感覚的な側面も重要です。
自分の目指す成功のトップ3を見ると人それぞれの違いが見えてきます。
その良い例が健康です。もちろん、大きな病気やケガは殆どの人が避けたいと思っていますが、すべての人にとって健康は最優先事項ではありません。モーターサイクル、マウンテンバイクでダウンヒル、パラグライダーなど、「ノーリスク、ノーファン」で趣味を楽しんでいる人は健康が最優先ではないでしょう。
もし、あなたにとって健康が最も重要なら、そのようなリスクのある活動は避けるでしょう。
「どの目標が正しいのか、より良い目標とは何なのか」を争うことに意味はありません。我々は人によって目標や優先順位が異なることを認識しなければなりません。
したがって、成功は非常に個人的な問題であると言えます。
人々はそれぞれ違うので、成功のためにそれぞれ違う目標を目指しています
そして、昔から信じられてきたこととは異なり、人を変えることはできません。
しかし、このような人それぞれの違いはどこから来るのでしょうか?
私たちの個性を形作るのは、遺伝子や環境ではなく、これら2つの要素の相互作用が影響しています。 分子遺伝学的人格研究のパイオニアの一人であるクラウス・ペーター・レッシュは次のように説明しています。
「個性は、遺伝的素因によって決定される「気質」と、環境によって形作られる「性格」で構成されていると考えることができます。」 したがって、人は自分の「性格」を変えることはできますが、気質を変えることはできません。 したがって、
私たちは、変わることのない気質をベースに成長していきます。ある意味、気質は人格を形作る変わることのない基盤(ベース)で、性格はその基盤(ベース)の上で、環境の影響を受けながら成長しています。
精神科医のピータークレイマー(Peter Kramer)は、「気質」とは、特定の反応や行動のための先天的特徴で、遺伝的要因があることが化学的にも明らかであると言っています。クレイマーは、「性格」とは人生経験(その人の特徴と道徳的価値観を含む)から生じた一定の行動パターンと見ています。性格は後天的な行動パターンであり、気質は先天的なのです。性格は心理的で、気質は生物学的であると言えます。個性とは、社会生活における習慣的・特徴的行動パターンで、気質と性格の両方によって構成されているのです。
ドイツの脳研究者ゲルハルトロート(Gerhard Roth)は、次のように説明しています:「個性の中で、遺伝的な影響を強く受ける気質(コアパーソナリティ)と、環境の影響を強く受ける性格(拡張パーソナリティ)に分けられる」
気質と性格の相互作用
人の性格は、(特に老年期に)安定します。そしてそれらは根本的に変化し、環境や他の文化の枠組みに適応することができます。しかし、気質と性格の2つの要素の相互作用だけが、私たちの個性を形作り、行動を決定します。
このテーマに関する研究結果を見ると、気質と性格は50/50に分かれていることが解ります。
- 平均して、私たちの個人的な特性の50%は、気質です。それらは遺伝的要因があり、時間の経過によって変化しません。したがって、気質は私たちの性格が発達する基礎となります。
- 残りの50%程度は環境に依存し、私たちの性格を形作ります。それらは基本的に変化することができますが、それほど変われるものではありません。
これらは、以下のように言い換えることができます。
桃や梅などの果実が何に成長するかは、その果実の種(その遺伝子も含む)によってきめられていますが、環境(天候、場所、土壌条件、害虫、または人間による処理) は、その果実の「特徴」や果肉の品質に大きく影響します。しかし、どのような環境であっても桃の種から梅に成長することは決してありません。