永続的な成功を収め続けるための最初の重要なステップは、適切な目標を設定することです。
つまり、意識しなくてもモチベーションを維持できるような目標を設定することが重要です。
作者:ラルフシナ(Ralf China)ドイツのストラクトグラㇺのマスタートレーナー
翻訳:日本ストラクトグラムセンター正規研究員 磯川 友浩
自分の人生を自分で決めているという実感を持てるかどうかが、幸福感の決め手となります。
自分で決めているという感覚がなくなると、わずかなことでも、幸福感に悪影響を及ぼします。
買い物と同じように、ポジティブな思考や期待通りの結果をイメージすることで良い気分に浸ることができますが、リスクや副作用もあります。
例えば、やる気を起こさせるイベントの後などに目標が達成できないと、成功体験の欠如につながり、自分の人生を自分でコントロールできるという自信が低下します。
このように、目標を慎重に設定しないと、幸福感に大きな影響を及ぼすことになります。
多くの人が新年の初めに、大きな目標を掲げ、失敗してしまい、挫折感を味わう、といった様なことになってしまうのです。
この理由のひとつに、
「野心的な目標を立てることが、その後の成功に決定的な影響を与える」
という神話が信じられていたことが挙げられます。
これに対して、1953年~1973年にイェール大学で目標設定実験という研究が行われたと言われています。
この実験では、研究チームが最終学年の学生に、人生で達成したい目標を書いたかどうかを尋ねたそうです。
20年後の追跡調査では、書面で目標を立てた3%の学生が、他の97%の学生よりも多くの富を築いていたと言われていました。
ところが、 Fast Company誌が1996年に、この調査は実は存在しなかったことを明らかにしたのです。
しかし、この架空の調査結果は素晴らしいエピソードとして受け入れられており、40年以上経った今でも目標の設定や達成の際によく引用されています。
無意識にモチベーションを維持できたら?
私たちの脳についてこれまで解かっていることから、上記のイェール大学の目標設定実験の結果はありえないと言わざるを得ません。
私たちのモチベーションは、自動操縦のようなレベルで無意識に機能しています。
一方、目標(特に書面による目標)は、パイロットが意図的に操縦するような表層的な効果しか発揮できないのです。
そのため、自動操縦とパイロットが異なる方向を向いている場合、最終的には自動操縦の方が強力に作用してしまうのです。
現実的な目標設定の基本要件
自分にとって正しい目標かどうかに加えて、それを達成したいという想い、そして達成すべき方法も重要になってきます。
簡単に言うと、永続的な成功への最初の重要なステップは、適切な目標設定をすることです。
そして、自動操縦の方向と調和がとれている必要があります。
現実的な目標設定の基本要件は、十分な自己理解なのです。
自分の長所、短所、限界がどこにあるのかを知っている場合にのみ、自動操縦のような、努力感なく無意識に取り組めるような目標を設定できるからです。
そして、あなたの意識においても、本当に努力する価値があると感じている場合にのみ、目標達成に向けて全力を尽くすことができるのです。